サウナ徒然草

サウナのことはあまり書きません。

恋愛レボリューション21 in 祖師ヶ谷

「オッシャレしってーどっこ行くのっ?」

 

母が私を茶化す様に尋ねた。

 

「サウナだよ!!」

 

 

今日も私は小田急線に揺られていた。

地元の駅から祖師ヶ谷大蔵まで44分。

 

本日の目的地はそしがや温泉21。

 

昭和レトロな古き良き施設だ。

 

時刻は14時。。

開店と共に入館したが既に場内は賑やかだ。

脱衣所の年齢層は高く、 確実に私が最年少の様だ。

 

脱衣所の床はまるで床暖房の様に暖かく。

文字通り私はこの施設に温かく迎え入れられた。

 

サ室の最大人数は感染症対策で5人まで。

開店早々の時間帯、大浴場こそ満員御礼状態だがサ室内では全く問題なく最上段に腰を据えることが出来た。

 

サ室の温度は95℃。

遠赤外線ヒーターということもありサ室内はそれなりにカラカラだ。

照明はこれでもかと薄暗く集中して宇宙に浸れた。

 

最上段に構え8分もすると私は限界を迎え、

小さめの水風呂に入水した。

水深は浅く水温は17℃くらいだろう。

 

集合写真の最前列に位置した生徒Aの様に、中腰スタイルが丁度いい。

 

心地良い温度の水風呂で体温を下げてからは、お楽しみの外気浴だ。

 

浴室を少し歩き外気浴への扉を開けるにはサウナの追加料金を払ったものだけが手にする魔法の鍵が必要だ。

 

扉を開けるとプール、外気浴チェアー2脚。

プール横にはジャグジーもある。

 

ジャグジーの水圧はずっしり重く私はお腹のセルライトをこれでもかといじめた。

 

そして誰もいないプールで平泳ぎを5往復。

このプールには外気浴の存在を初めて否定された気がした。

 

私はその後もサウナ→水風呂→プールを繰り返した。

 

酩酊としながらプールに浮かぶ。

手を広げるより両手を縦にした方が浮かび易い。

 

幻想的だ。

プールから顔だけを出しては天井を眺め、

大都会のオアシスにパチンと弾けては泡のように消えた。

 

16時にもなると私がプカプカとプールに浮かんでいる横で子供が元気よくクロールを繰り返していた。

 

これはこれで幻想的だ。

小さなプールでは子供がクロールをするだけで大きく波を打つ。

 

私はその波にただひたすら身を委ねる。

 

耳までプールに浸かっているので、子供が自慢げに披露するクロールの音もサラウンドだ。

 

ありがとう。

君は私のこの酩酊とした宇宙との交信時間を演出してくれてるんだね。

 

もし君がいなかったから私は恐らくエイリアンに連れ去られ人体実験の餌食となり明日には人類に紛れる宇宙人としてスパイ活動をしているはずだよ。

 

たまに私の下を潜水しているがそれもまた一興だ。

 

「小さなプールが確実に外気浴を否定した。 」

 

私の視界が暗くなっていく。

私は今確実にどこか異世界に浮遊しているジプシーだ。

 

ここにはあまみも外気浴も存在しない。

ととのうという言葉なんて薄っぺらい。

 

私はそれなりに冷えてきた身体を冷凍サウナでさらに冷やしてからサ室へ戻った。

 

また新たなサウナの楽しみ方を知れた1日だった。

 

名残り惜しかった。

 

だから私は帰らなかった。

 

それから私は5セット目を終え外気浴をしていると、プールでは若いお父さんと4歳くらいの女児が楽しく遊んでいた。

 

平和だ。

 

私は微笑みながら親子を眺めていた。

私も息子といつか銭湯を訪れたいものだ。

 

その後もさらに外気浴をしたり、プールに浮かんでいると引き続き親子は楽しく遊んでいた。

 

私は微笑みながらその光景を眺める。

 

平和な空間をただただループする。

 

若いお父さんはたまに私を横目でチラリと見てくる。

 

私は軽く会釈をする

 

しかし、そんなことを数回繰り返しているとお父さんの表情が段々と険しくなってきていることに気が付いた。どうやら私は少し不審者に思われている様だ。

 

最初は多分子供好きなお兄さんなんだなーっと好意的だったのだと思うが、外気浴の度に微笑みながら女児を眺める男性。

 

立派な変態だ!!

 

最初に一言言っておくべきだった。

 

「私にも息子がいましてねー。まだ2歳なんですけど。早く私も息子と銭湯に行きたいんですよー。」

 

って。

 

 

私は女児を微笑みながら眺めるお兄さん。

 

 

 

私はただの変態だ。

 

 

 

しかし、私はそんな羞恥心をも上回る定義を確立した。

 

サウナ→水風呂→プール

これが私の新たなスタンダードだ。

 

何かを得るためには何かを失わなければいけない。

 

私はどうやら変態と思われることによって新たなサウナの楽しみ方を発見した様だ。

 

明日は妻のパンツを被って変態仮面として人類の役に立ちたいと思う。

 

歴史が変わる瞬間とは常に些細なことだったりするのものだ。

 

私は変態なりに人類に貢献したいと思う。