亀遊舘的浦島太郎の考察とセンチメンタルジャーニー
昔、浦島太郎という漁師がお母さんと暮らしていました。ある日のこと、太郎はいつものように小舟で釣りをしていましたが、魚が一匹も釣れません。
「仕方ない。今日は帰ろう。」
太郎は浜に上がりました。砂浜では子供達が騒いでいます。近付いてみると、小さな亀を棒で突いていじめているのです。
小さな亀は目に涙を浮かべもがいています。
「逃してやりなさい。弱い者をいじめてはなりません。」
「じゃあお兄さんこの亀を買っておくれよ。」
私は入館料720円を払い小さな亀を助けると、程なくすると大きな亀が泳いできました。
「太郎さん。小さな亀を助けてくれてありがとう。お礼に亀遊館のサ室へお連れします。」
亀は背中に太郎を乗せるとJ-POPが流れる脱衣所を抜け、浴室へ。
浴室で軽く体を洗い再び亀に乗ると亀は太郎をサ室へ連れて行った。
98℃の熱波とJ-POPが太郎を優しくも時に激しく包み込んだ。
「ここが竜宮城かっ。」
竜宮城では恋愛レボリューション21が流れている。
超超超 いい感じ 超超超超 いい感じ
8分を過ごすと太郎は12℃の海(水風呂)へと入水した。
超超超 いい感じ 超超超超 いい感じ
外気浴スペースでは人々が各々煙草をふかしたりスマートフォンをいじっていた。
(現在は煙草もスマートフォンも使用禁止です。)
竜宮城はフリーダム!!
固定概念なんて捨ててしまえ!!
そんな訳で太郎は5セット目で安田記念を見ることにした。
サウナと競馬。
もう当たる気しかしない。
絶対当たるでしょこれ!!
何故なら私の脳は完全に覚醒している。
私のことをハーレイ・ジョエル・オスメント君と呼んで頂いても差し支えない程のシックスセンス的な世界観に私は今いる。
太郎の本命はダノンプレミアム。
1分31.7秒後
勝ったのはダノンキングリー!!
なんでやねん。なんでそっちやねん。
サウナ延長っ。竜宮城延長っ!!
競馬は外れた。なんなら駐車が下手な太郎は駐車場で愛車のプリウスを擦っていた。
傷心だ。この傷心を癒やしてくれるのはサウナだけだ。太郎は再び亀に乗りサ室へ戻った。
♪ ありがとうって伝えたくて〜 ♪
いきものがかりが太郎をこれでもかと癒やした。
ありがとうと伝えたいのは私の方だよ。
厚木市民の私にとって「いきものがかり」「TUBE」「小泉今日子」and 「榊原郁恵」だけが心の拠り所なんだよ。
本厚木駅のホームでは電車が近付くといきものがかりのYELLが流れるんだぜ。
太郎は時間を忘れ気付けば8セットをこなしていた。
「どうか帰らないで下さい。」
おとひめ様は太郎を引き止めた。
しかし、太郎の意思は固く、観念したおとひめ様は太郎に玉手箱を託した。
私は原作を知っているので玉手箱は開けずに再訪したいと思う。
……
こんな私の亀遊舘涙のJ-POPリクエスト。
SPEEDのBody&Soulからのmy graduationからのGo Go Heavenが聴きたい。
あれは雪が降った翌日の出来事だった。
私は気持ち良くドライブをしながらmy graduationを聴いていた。
しかし、my graduationが終盤に差し掛かった「その時」に事件は起きた。
姉さん事件です。
突然私の車は制御不能になり道路から飛び出し、一瞬空中浮遊しては畑へとDiveした。
少しばかり意識を失った私だが目が覚めると車内ではGo Go Heavenが流れていた。
私は危うく人生からmy graduationした挙句にGo Go Heavenするところだった。
車内では10代の少女達の力強い歌声が木霊している。
♪Go Go Heaven どーこまでも行こーう♪
アイスバーンだった。
私はまだGo Go Heavenはしたくなかったので車はお釈迦になったが、まだ命があることにゴータマ・シッダールタ大先生に心から感謝したものだ。
そんなことを亀遊舘のサ室で考えていた今日この頃。
皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
本日の亀遊館サ室J-POP
恋愛レボリューション21 in 祖師ヶ谷
「オッシャレしってーどっこ行くのっ?」
母が私を茶化す様に尋ねた。
「サウナだよ!!」
今日も私は小田急線に揺られていた。
地元の駅から祖師ヶ谷大蔵まで44分。
本日の目的地はそしがや温泉21。
昭和レトロな古き良き施設だ。
時刻は14時。。
開店と共に入館したが既に場内は賑やかだ。
脱衣所の年齢層は高く、 確実に私が最年少の様だ。
脱衣所の床はまるで床暖房の様に暖かく。
文字通り私はこの施設に温かく迎え入れられた。
サ室の最大人数は感染症対策で5人まで。
開店早々の時間帯、大浴場こそ満員御礼状態だがサ室内では全く問題なく最上段に腰を据えることが出来た。
サ室の温度は95℃。
遠赤外線ヒーターということもありサ室内はそれなりにカラカラだ。
照明はこれでもかと薄暗く集中して宇宙に浸れた。
最上段に構え8分もすると私は限界を迎え、
小さめの水風呂に入水した。
水深は浅く水温は17℃くらいだろう。
集合写真の最前列に位置した生徒Aの様に、中腰スタイルが丁度いい。
心地良い温度の水風呂で体温を下げてからは、お楽しみの外気浴だ。
浴室を少し歩き外気浴への扉を開けるにはサウナの追加料金を払ったものだけが手にする魔法の鍵が必要だ。
扉を開けるとプール、外気浴チェアー2脚。
プール横にはジャグジーもある。
ジャグジーの水圧はずっしり重く私はお腹のセルライトをこれでもかといじめた。
そして誰もいないプールで平泳ぎを5往復。
このプールには外気浴の存在を初めて否定された気がした。
私はその後もサウナ→水風呂→プールを繰り返した。
酩酊としながらプールに浮かぶ。
手を広げるより両手を縦にした方が浮かび易い。
幻想的だ。
プールから顔だけを出しては天井を眺め、
大都会のオアシスにパチンと弾けては泡のように消えた。
16時にもなると私がプカプカとプールに浮かんでいる横で子供が元気よくクロールを繰り返していた。
これはこれで幻想的だ。
小さなプールでは子供がクロールをするだけで大きく波を打つ。
私はその波にただひたすら身を委ねる。
耳までプールに浸かっているので、子供が自慢げに披露するクロールの音もサラウンドだ。
ありがとう。
君は私のこの酩酊とした宇宙との交信時間を演出してくれてるんだね。
もし君がいなかったから私は恐らくエイリアンに連れ去られ人体実験の餌食となり明日には人類に紛れる宇宙人としてスパイ活動をしているはずだよ。
たまに私の下を潜水しているがそれもまた一興だ。
「小さなプールが確実に外気浴を否定した。 」
私の視界が暗くなっていく。
私は今確実にどこか異世界に浮遊しているジプシーだ。
ここにはあまみも外気浴も存在しない。
ととのうという言葉なんて薄っぺらい。
私はそれなりに冷えてきた身体を冷凍サウナでさらに冷やしてからサ室へ戻った。
また新たなサウナの楽しみ方を知れた1日だった。
名残り惜しかった。
だから私は帰らなかった。
それから私は5セット目を終え外気浴をしていると、プールでは若いお父さんと4歳くらいの女児が楽しく遊んでいた。
平和だ。
私は微笑みながら親子を眺めていた。
私も息子といつか銭湯を訪れたいものだ。
その後もさらに外気浴をしたり、プールに浮かんでいると引き続き親子は楽しく遊んでいた。
私は微笑みながらその光景を眺める。
平和な空間をただただループする。
若いお父さんはたまに私を横目でチラリと見てくる。
私は軽く会釈をする
しかし、そんなことを数回繰り返しているとお父さんの表情が段々と険しくなってきていることに気が付いた。どうやら私は少し不審者に思われている様だ。
最初は多分子供好きなお兄さんなんだなーっと好意的だったのだと思うが、外気浴の度に微笑みながら女児を眺める男性。
立派な変態だ!!
最初に一言言っておくべきだった。
「私にも息子がいましてねー。まだ2歳なんですけど。早く私も息子と銭湯に行きたいんですよー。」
って。
私は女児を微笑みながら眺めるお兄さん。
私はただの変態だ。
しかし、私はそんな羞恥心をも上回る定義を確立した。
サウナ→水風呂→プール
これが私の新たなスタンダードだ。
何かを得るためには何かを失わなければいけない。
私はどうやら変態と思われることによって新たなサウナの楽しみ方を発見した様だ。
明日は妻のパンツを被って変態仮面として人類の役に立ちたいと思う。
歴史が変わる瞬間とは常に些細なことだったりするのものだ。
私は変態なりに人類に貢献したいと思う。
タトゥーをしていると大変だ。
タトゥーをしていると大変だ。
本日は右肩に永遠とタオルを掛けているおじさまがいた。
右肩のタオルはさながら戸愚呂兄。
(正確には戸愚呂兄の定位置は左肩。)
常に姿勢は崩さずにタオルが落ちないように細心の注意を払っている。
サ室でも常にライトサイド。
(右端に位置すれば他者からは右腕は見えない。)
水風呂でも常にライトサイド。
外気浴も常にライトサイド。
右端だけは絶対に譲れない。
右肩と対峙するのは常に壁だ。
そんな彼も若かりし頃はまさかサウナにハマるとは思ってもいなかっただろう。
心中お察し致します。
そんな彼が酩酊としながら水風呂に入る時だけがタトゥーチャンス。
この時ばかりは永遠を約束したはずの右肩のタオルが水面に浮かぶ。
しかし彼はお決まりのライトサイドからは微動だにもせず冷静にタオルをキャッチしては定位置へと戻した。
お見事!!
タトゥーをしていると大変だ。
私がニューヨークのハーレムに住んでいた時、20代の黒人の女性が話かけてきた。
「ねえ、あなた日本人でしょ?最近私は漢字のタトゥーを入れたのよ。strongとかそういう意味なんだって。この漢字がちゃんと合ってるか見てくれない?」
そして彼女はおもむろに右肩を私に差し出した。
そこに刻印されていた文字は「腕白」。
私は絶望しながらも彼女に言った。
「この漢字の意味は腕が白いという意味だよ。」
彼女は言った。
「私は黒人よ。私の腕は白くない。」
彼女は泣きじゃくりながら私の元を立ち去った。
無知とはとても浅はかなものだ。
私は人類に問う。
何かアクションを起こす際には一歩踏み出す前に立ち止まろう。
この便利すぎる世の中だ。少しだけでいい。少しの努力が、後の人生の助けになるはずだ。
幾許かの罪悪感に苛まれた私はアパートメントに戻ると念の為「腕白」という言葉を検索した。
↓↓↓検索結果↓↓↓
「ワンパク」
..........
無知なのは私だった。
音読みだったのか。
完全に私は「うでしろ」と読んでいた。
いやだがしかし日本語ネイティブな私からすればstrong=ワンパクも納得がいかないし、正確に言えば間違いなのだが、百歩譲ってワンパク=strongでも良いだろう。
細かいことは気にするな。
ここはどこだ?
ニューヨークだ。
don’t think, feel!!
居た堪れなくなった私はアパートメントを飛び出し彼女を探した。
ハーレムは隈なく探したし、タイムズスクエア、ユニオンスクエア、イーストビレッジ、さらにはブルックリンブリッジを渡りブルックリンの街までも探し回った。
明け方の街 桜木町 旅先の店 新聞の隅
こんなとこにいるはずもないのに。
ついぞや彼女は私の前に現れなかった。
私は恐らく、
この先の人生を「この」後悔の念を一生抱えたまま生きていくだろう。
当然だ。
私は彼女の人生を変えてしまったのだから。
ごめんねOnika Tanya Maraj-Pettyさん(適当)。
君が今その腕白な右腕と共に幸せに過ごしていることを私は切に祈っております。
もしまだ独身なら責任は取る。
結婚しよう!!
おあとがよろしいようで。
〜神奈川県厚木市在住30代既婚男性〜
※この投稿は東名厚木健康センターにて作成されたものです。
サウナの話をしようじゃないか。
私はどこまでも続く深海へ堕ちていく。
そこは深い深い海の下。
ここから水上へと上がる頃には私の命は亡く、更なる深い闇に包まれていることだろう。
見たこともない魚達が目の前を浮遊する。
深海魚達が彩るネオンが空間を演出し幻想的な世界を創造していく。
そこにあるのは孤独だったり絶望だ。
どうやら深海魚達が私の最期をマイペースに彩ってくれている様だ。
しかし、ごめんなさい。
私はまだ死にたくない。
この世にまだ未練がある様です。
私だって「たった一度きりの人生」レッドカーペットの上を歩いてみたり、大観衆を目の前にして、
私「2階席聞こえるー!?」
大観衆「キャーっ!!つよぽーん!!」
私「アリーナ調子どうっ!?」
大観衆「キャーっ!!つよぽーん!!絶好調!!仕上がってるよー。」
観衆A「やだ。やだ。今絶対つよぽんと目が合った。あーもうっ今この瞬間に死にたい。絶頂のまま天寿を全うしたい。」
こんな世界観の人生が良かった。
だから私は現生を諦める訳には決していかないのだ。
あれは2009年9月成田空港での出来事。
私は意気揚々とカナダからの2年半の留学を終え帰国し、動く歩道の上でムーンウォークを真似しては上機嫌にこれから待ち受ける未来に胸を躍らしていた。
そして私の目の前には大勢の取材陣が待ち受けていた。
私はただ海外留学から帰ってきただけ。
さすがは日本だ。海外への劣等感の塊の人種。テレビを映せばハーフ美女ばかりが躍動する。
確かにハーフの美女は美しい。
私も出来るならお金持ちのハーフ美女に生まれたかった。
そんな人生だって良い。
最高じゃないか。
ナチュラルボーンイングリッシュスピーカーというアドバンテージと端麗な容姿。
行く末はテレビタレントだ。
何故かかなりの確率で歌も上手い。
神はどこまでも不平等だ。
しかしどうだ。私は「今」確実にハーフ美女へとワンステップクローザーしている。
カナダの匂いを醸し出しカナダのオーラを纏う和製ジャスティンビーバーだ。
目の前の取材陣が駆け寄ってくる。
「おおっ神よ。私の人生に幸があらんことを。私は全てを受け止めよう。」
そして押し寄せる取材陣の波。
私は目の前に迫るビッグウェーブに乗ることにした。BGMはザ・ベンチャーズのパイプライン。
そしてそのビッグウェーブは当然の如く私を通り抜けて行った。
呆気に取られた私だが最後の力を振り絞り後ろを振り向いた。
そこには全身真っ赤なコーディネートで異彩を放つ長髪の男性がいた。
TADANOBU ASANO
どうやら彼は同じ飛行機だった様だ。
あとでニュースを見て知ったのだが、モントリオール世界映画祭で彼の出演作が最優秀監督賞を受賞したらしい。
そこには悠然と光輝くスターがいた。
TADANOBU ASANOは私にスターの洗礼を施したのだ。
あれから何年経ったろう。
私はスターになることはまだ出来ていない。
スターどころか人生に苦闘し、これでもかともがいている。
そんな私がふと目を開けると目の前には温度計。それはちょうど100℃を指していた。
湿度も高く、私は今確実に世界で一番熱い空間の中にいる様だ。
悶々とした人生だ。
私が「あの頃」思い描いていた未来が静かに遠く遠く離れていく。
どうやらもう「将来」が来てしまった様だ。
私は現在「将来」を生きている。
あの頃の私には想像も出来ない未来だが、私は今サウナにいる。
1人の男性がサウナ室に入って来た。
そして彼は大きなブロワーを片手に持ちながら言った。
「はいっ、爆風ロウリュウを始めます。残暑もようやく過ぎましたが、ここでは夏は終わりません。デスバレーへようこそ。」
サウナ室内にブロワーの音が木霊する。
彼は慣れた手付きでその大きなブロワーを上に向け風を送ると、サウナ室上部に溜まっていた高熱が堕ちてきた。
熱い。
熱すぎる。
一体これから何が始まるんだ。
サウナ室内は瞬く間に、
彼が口上で述べたデスバレーへと化していた。
そして彼はその大きなブロワーを私に向け笑みを浮かべ言った。
「ウェルカム。」
人間の煩悩をかき消す程の爆風が私を襲う。
乳首が焼けていく。
最上段に鎮座していた私は思わず後ろへとのけぞった。
私はまるで荒川静香の様に美しいイナバウワーを披露した後、即座に小走りでサウナ室から出ては15℃の水風呂へ浸かった。
そして酩酊としながらもどうにか露天スペースに設置されている「ととのい椅子」へと腰を下ろした。
目眩が私を襲う、耳鳴りが私を襲う。
そして私はどこまでも続く深海へ堕ちていく。
そこは深い深い海の下。
ここから水上へと上がる頃には私の命は亡く、更なる深い闇に包まれていることだろう。
見たこともない魚達が目の前を浮遊する。
深海魚達が彩るネオンが空間を演出し幻想的な世界を創造していく。
そこにあるのは孤独だったり絶望だった。
どうやら深海魚達が私の最期をマイペースに彩ってくれている様だ。
大した人生ではないが我が人生に悔いはなし。本気でそう思わせる程の快感がそこにはあった。
2020年10月7日水曜日。
私は東名厚木健康センターにいた。
私はそれ以来、サウナという深海に堕ち続けている。
そしてその深海にはまだまだ知らない未知の世界が幾多とあるらしい。
次はこの先にぼんやりと輝くネオンに泳いで行こうと思う。